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杜の都、仙台

ようやく春らしい気候になってきた。が、明日からはまた冷え込むという。もう少し、緩やかに変化してくれないものか。そういう時に旅に出るのは大変だ。今回はJALのバースデー割引を利用しての旅だ。とうとう大台になるがウィスキーへの情熱は変わらない。

10:00発のJEX2203はほぼ満席。通路側の席をお願いしたんだけど既にいっぱいで窓際の席になってしまった・・・皆さんよくご存知で。B737は窓側の席が一番末席かと思うぐらいに窮屈だ。特に大柄の部類に入る私は非常に苦しい。唯一の救いは機体がJTAだったこと。沖縄から飛んできたのだろう。"CoralWay"(JTAの機内誌)でちょっと南国気分だ。ちょうどフォトコンテストの発表があった。いい写真がグランプリに選ばれていた。一瞬のチャンスをGetしたカメラマンはすごいものだと思う。

ちなみに私も2000年のグランプリを頂いた。18回の歴史の中で審査員の中村征夫先生が唯一選出した水中写真でのグランプリということが私のたった一つの自慢だ。まぁ、そんなことはどうでもいい。JTAの機体とはいえ、今回は仙台に向かっているのだから。

仙台空港揺れるかもしれないとのアナウンスもあったがトラブルなく到着。空港前では新しく鉄道駅の建設が行われていた。確かに鉄道のほうが時間が読めていい。伊丹も蛍池から阪急の支線でも作ればいいのに。

空港バスでJR仙台駅に向かう。空港を出て、仙台市街に入るまでは田んぼばっかり。でも仙台は予想より大きな街だ。広瀬川が街中を流れる。これがあの有名な曲に出てくる川か。

JR仙台駅大した混雑もなく、JR仙台駅に到着。しかし予約したホテルは西口のバスターミナルと反対側の東口側にあるHoliday Inn Sendai。10分ぐらい歩いてホテルへ。12時半ぐらいだったがチェックインができた。

さてと、宮城峡へ向かおう。時刻表を見ると12:50の列車があるが、ちょっと間に合いそうにもない。13:30のバスで向かうとしよう。駅周辺を散策後、何か食べようと思い、仙台に来たのだから牛タンでも食べてみるかと駅ビルにある有名な牛タン通りへ。しかし昼食時でどの店も行列が出来ていた。まぁ、絶対に食べたいものでもなし。駅ビルの中にKirin Cityがあったので軽食とビールを一杯。昼から飲むビールというのは休日を実感させてくれる。

バスターミナルより13:30の作並温泉行きに乗り込み、宮城峡へ向かう。本数が少ないので満員だ。市街地を抜け、山にかかる頃には雪景色となった。市内とは気温がずいぶんと違うようだ。

40分程走っただろうか。道路と並走している線路を見ていると、同方向へ向かう電車が過ぎていった。バスは予想以上に時間がかかるようだ。所要時間をチェックしておけばよかった。

ニッカ橋1時間以上バスに揺られて目的地のニッカ橋に到着。何のことはない、13:50の列車を使っても同じぐらいの時間に着いただろう。蒸留所の前にバス停があるので歩かなくていいことだけがメリットだ。それと引き換えにほぼ倍の970円が運賃箱に消えていった・・・。

このあたりは新川川と広瀬川が合流するあたりでその温度差から霧がよく発生するという。広瀬川上流には温泉があり、ちょっと温度は高いのだろうか。竹鶴政孝氏は新川川の水を気に入って、この地に蒸留所を建てることを決めた。蒸留所の側には必ず川があるのはSpeysideも同じだ。

ゲートゲートを通り、受付まで歩く。これがまた結構な距離だ。広い土地に余裕を持って建てられたと聞くがそれを今実感している。5分ぐらい歩くとようやくゲストハウスやショップの建物が見えてきた。見学受付に行くと15:05からの見学ツアーがあるとのこと。さっそく申し込む。ウィスキー造りのプロセスはどこでも一緒なんだけど作っている現場を見ないと来た意味がない。

Glen Miyagi Distillery平日の最後のほうのツアーということで見学者は私1人だけ。これはラッキーだ。写真がゆっくりと撮れる。

日本の蒸留所は見学者への配慮もちゃんとしていて安全性も十分確保されている。まぁ、これが我々にとっては余計なお世話。ちゃんと仕切りがあってマッシュタンやウォッシュバックはガラス越しにしか見れない。一般客はそれでもいいが写真を撮るのは難しい。そして匂いもわかりにくい。

スティルハウススティルハウスは建物構造上、撮りづらかったが何とかカメラに収めることが出来た。Scotlandのようにすぐ横までは行けない。一般客を多く受け入れているのだからしょうがないとは思うが。

ポットスティルは余市より大型でバルジが付いている。

コフィースティルCoffey Stillは生産するウィスキーの度数が高いため、法律で一般客が近くに立ち入るのは禁止されているとのこと。建物の窓から少し見えただけだった。まぁ、しょうがないか。模型はしっかりと見たけど・・・。

ウェアハウスウェアハウスを回り、後はゲストハウスで試飲タイム。仙台も余市ほど大きくはないがBar(有料試飲コーナー)がある。ここで仙台の原酒を楽しむとしよう。

仙台宮城峡モルト原酒10年サンプルを見ると20年原酒の色がずいぶんと濃い。シェリー樽熟成なのだが気になるところだ。とりあえずはサービスの10年原酒を飲む。実際のところ、宮城峡のモルトを飲むのは初めてだ。

一口、含むとソフトで優しい味わいが口に広がる。アルコール度数を感じさせないなめらかさ、その中にニッカのフレーバーがしっかりとあって、かすかに甘みが残る長い余韻。

"う〜ん、これはハマってしまう。"

仙台宮城峡蒸留所限定樽出し51度続いて15年と20年を注文する。バーボン樽熟成の15年は非常にスムーズで飲みやすい。最後にかすかに甘みが残る。20年はシェリー樽長期熟成によくある渋みが少ない。どちらも素晴らしいウィスキーだ。

そして、樽出し原酒51度仙台工場バージョンを注文。おそらく、From the Barrelと同等の製品だと思うがラベルが印象的だ。

ウィスキーソフトクリームショップが16:30閉店とのことなので、今日はこれぐらいにしておこう。最後に宮城峡蒸留所名物"ウィスキーソフトクリーム"を食べる。どんなものなのかと興味があったが、バニラソフトクリームに樽出し原酒51度を30mlかけたものでウィスキーの味と香りがたっぷり。飲んだ後にはなかなかおいしい。ちなみにこれはドライバーは注文できない。

ニッカ橋から見る広瀬川外に出ると少し冷え込んできた。ウィスキーで暖かくはなっているが。徒歩で駅に向かう。登り坂なのでちょっと大変だ。それに雪が残っていて歩きにくい。

作並の駅舎20分程歩いてようやく駅についた。17:27の列車までは20分程ある。しかし駅の周りにはなんもない。観光案内所があったが駅は無人駅だ。

列車は定刻どおり到着、って1時間に1本ならば遅れてもたいして影響がないか。

夜は何を食べようかと思案したがやはり地元の魚介類がいい。仙台だから牛タンというのはおもしろくない。それに東北地方の魚もおいしいだろうし。ということで来る前によさげな店を何軒かインターネットで探していた。ただ実際にお店を見てみないとわからない。

スズキの刺身 JR仙台駅から少し離れたところにある居酒屋"おお里"が店構えなどよさそうだったので入った。満席に近かったが、カウンターに1席だけ空いていた。一人の時はカウンターがベストだ。

イカ沖漬けメニューを見るとなかなかよさそうな肴が並んでいる。まずは地元の日本酒、澤乃泉純米酒とスズキの刺身、イカの沖漬けを注文。

ばっけ味噌続いて浦霞の純米吟醸とメニューで気になっていたばっけ味噌、ばくらいを注文。

ばっけ味噌とはフキノトウ味噌のこちらの呼び名だそうだ。ちょっと苦みがあって日本酒にはよく合う。

ばくらい そしてばくらいとはホヤの塩辛とこのわたを合わせたもの。これは酒の肴に最高だ。日本酒が進むことまちがいない。

ほやの刺身最後に初めて生のほやを食べる。独特の匂いがあるというが海の香りがして果物みたいな食感でこれはおいしい。これまた日本酒に合う。やはり寒い地方は魚と日本酒に限る。

一日中、酒に浸った締めくくりの杜の都での魚の宴だった。