Photo: Craigellachie: Elgin
Craigellachie_Distillery: Glen_Moray_Distillery: Grain_Store_Distillery
秋深し、となりは・・・
朝起きると少し雨が降っていた。しかし青空も見えているので今日は大丈夫だろう。
Highlander Innの朝食は焼きトマトではなく、きのこのソテーがついていた。Scotlandの人々は朝からよく食べる。しかし朝ご飯はしっかり食べるほうが健康にもいいはずだから。毎日ほとんど同じメニューだけど不思議と飽きない。まぁ、良く考えたらどこの家でも朝ご飯のメニューはほとんど毎日いっしょだろう。
今日の待ち合わせは12時。それまでCraigellachieの風景を撮る。野山はちょうど紅葉がすすみ、非常に美しい。
River Speyに架かるCraigellachie Bridgeは最古の鉄橋とのこと。とても美しいカーブを描く。この美しい自然の中によくマッチしたデザインだ。River Speyは昨日からの雨で増水していて流れが強くなっている。水の色はPeat Colourだけど日本の川のように濁っていない。これだけの川でも護岸工事はされていない。ありのままの姿を残すという国民性の違いだろうか。もっとも公共の土木工事はいろいろと裏があるみたいだが・・・。
上流から何かが流れてきた。Scotlandに来てから、川にごみなどが流れているところは見たことがないのになんだろう。ちょうど橋の下に来た。白く丸いもので結構大きい。黒い棒のようなものが4本ついている・・・。それは羊の死体だった。あやまって足をすべらせたのだろうか。Scotlandの自然の美しさの中にある厳しさを垣間見た一瞬だった。
町の南側にはCraigellachie蒸留所がある。ここにはパゴダが残っている。道路からはガラス張りのスティルハウスの中にストレート型のポットスティルが4基見える。
White Horseの原酒のイメージが強いが現在の所有者はDewars社。花と動物シリーズのボトルも今では手に入らない。
Highlander Innの3〜4軒東側にGalleryの看板が出ている建物があったので覗いてみるとそこにはScotlandのいろいろなものをテーマにしたイラストが展示されてあった。中でもウィスキーをテーマにしたものがとても素晴らしくて気に入った。オリジナルは高いのでグリーティングカードをいくつか購入。聞けばご夫婦で描かれているとのこと。こういう面からもScotlandにはウィスキーが根づいていることが感じられる。
時刻は11時をまわり、だいたい写真が撮れたのでパブで休憩。昨日の"Nessie's"を飲もうかと思ったら、既に違うAleに変わっていた(銘柄は忘れた)。日替わりのSpecial Aleらしい。この時間からビールというのもいいものだ。
アクシデントは旅のスパイス
12時前になって、宿の人が私に電話が入っていると言ってきた。誰からかは聞かなくてもわかる。いうまでもなく悪い知らせだ。
予想通り吉越さんからで車が故障したので今日は行けないとのこと。電話での別れになってしまったのが残念だが、日本での再会を約束して受話器を置いた。
旅にハプニングはつきもの、この程度のトラブルで動揺する私ではない!。当初の計画どおり、バスでElginに向かうとしよう。幸いにも12:28にElgin行がある。
バス停はHighlander Innのすぐ近く。バスはほぼ定刻どおりにやってきた。Scotlandの公共交通機関も信用できるようだ。Elginまでは30分程だ。よく考えたら、この旅でバスに乗るのは初めて。しばしバスの旅を楽しむとしよう。Elginまでの道沿いに多くの蒸留所があるのでカメラをスタンバイ。動いているバスの中からという悪条件だがやってみよう。
バスはRothesあたりで人が乗ってきた。お年寄りが多い。
Rothesを過ぎるとSpeyburnのパゴダが見えてきた。この角度も美しい。
Coleburnのバス停を過ぎ、蒸留所はどこかと探していたら、後ろのほうに建物が見えた。道路からは見えないような位置に建っている。
Longmornあたりで2ヶ所ほどのパゴダがあった。たぶんBenriachとLongmornだと思うが、やはり乗り物から撮るのは無理がある。
久しぶりの街
Elginが近づくにつれて、建物が多くなってきた。Elgin駅近くの線路と交差する橋を通ってそろそろ到着かと思ったが、それから結構走っている。遠回りしたので5分ぐらい走っただろうか、幹線道路沿いのバスターミナルに着いた。
駅から随分と離れている。予約している宿は駅の近く。しゃーない、歩いていこう。こんなんやったら駅の近くで降ろしてもらったらよかった。
Elginには商店街もあり、お店の数も多い。そして街自体が複雑な構造をしている。こりゃわからんぞ。とりあえず線路まで行こう。
20分程かかって、ようやくthe Lodge Guest Houseに到着。
さて、最後の蒸留所見学に行くとしよう。Glenmorayは駅から2kmはあるみたいだ。まぁ、ぼちぼち行こう。
駅から線路に沿って西へ向かう。5分も歩かないうちにパゴダが見えてきた。あれ、随分と近くにある。いや、ちょっと待て。パゴダが小さすぎる。
線路に接して建っていたモルトキルンは閉鎖された蒸留所のものだった。隣接している建物もその当時のものと思われるが鳩の巣となっている。敷地内は建築業者の資材置き場になっているようだ。事務所があったので聞いてみると、名をGrain Storeというらしい。いつ閉鎖されたかはまったくわからない、かなり前であることは確かなようだ。
20分程歩いてGlenmorayに到着。Visitor Centreは最近になってできたのだろうか、新しくきれいな建物だった。都合の良いことにあと10分ほどで次の見学ツアーが始まるのでそれに参加する。ハンガリーからの4人組と一緒になった。一人は三脚にハッセルブラッドを持っている。これは気兼ねなく写真が撮れる。
ガイドは年配の蒸留所員でわかりやすく説明をしてくれる。写真も撮ってよいとのことで私も三脚を準備して最後の蒸留所見学ツアーを楽しんだ。
Glenmorayは古い建物がいくつか残っている。モルトは軽くPeatを焚いたものを使用しているそうだ。イースト菌も2種類を使い分けているとのこと。ウェアハウスの7段重ねには圧倒された。伝統的な2段のウェアハウスも別にあるという。
Shopで最後の蒸留所見学の記念に何を買おうかと試飲のGlenmoray 16years oldを飲みながら選ぶ。めずらしいものでは、1971 Vintageがあった。フルボトルは値段的、重量的にちょっとつらいのでミニチュアを購入。ここはGlenmorangieと同系列なので、あのグラスがあった。
Elginの観光スポット?
日が西に傾いてきたのでLinkwoodは明日行くことにして、Elginを歩いてみよう。
古い建物が多く残っており、商店街などもあり、にぎわっている。
そういえば、Scotlandの紙幣でポットスティルが描かれている10ポンド札があったな。これは記念に手に入れねば。メインストリートにあるthe Bank of Scotlandへ入る。20ポンドのトラベラーズチェックを変えてもらおう。
"Change Cash, please."
"OK."
"10 pounds money, please."
"OK."
"Drawing potstill money, please."
我ながらなんちゅう英語やと思っていたら、やっぱり通じてなかった。別の10ポンド札を出してきた。
"No, Pot Still 10 pounds money, please!"
あかん。これ以上の英文が思い浮かばん。
「それとちゃうっちゅうねん。わたしゃポットスティルの絵の書いたお札が欲しいの。」
と叫びたかったが、ここは銀行、それも異国の地、ややこしいことになったら困る。
持っている10ポンド札に指でポットスティルを描くようにして見せながら話すこと5分ぐらい。隣の窓口の女性が声をかけてきてくれた。
"Distillery?"
"Yes, distillery!."
すると、ようやく理解してくれたらしく、比較的きれいな札を2枚選んで出してくれた。
そうか、蒸留所と言えばわかってもらえたのかも。まぁ、ともかく手に入った。
"Thank you! Thank you very much, Thank you."
ありがとうを連発して笑顔で銀行を後にした。
やはり、同じ人間同士(外見は随分と違うが・・・)、何とかなるもんだ。
Elginといえば何といってもGordon & MacPhail。やっぱり本店に行かなあかんでしょ。
店内に入ると、酒売り場は奥の方にあった。Whiskyは自社製品とオフィシャルボトルがほぼ全種類揃っているようだ。日本にはあまり見られないハーフボトルも揃っている。他にワインや他の飲み物、チーズやハム類、お菓子などもあり、ここだけで宴会準備はできるなぁ。どのWhiskyを買うか悩んだあげく、一番好きなGlenlivetのハーフボトルを購入。それにしても種類が多い。私の生まれ年の酒、Glen Mhor 1965があったが今回はパス。次回の旅、"Scotland Whisky Tour in Northern Highland"の時に買うとしよう。
夕食は駅近くのホテルのレストランで食べる。今日こそはハギスを食べたい。Starterとしてメニューに載っていたので量を確認。そんなに多くないとのことでこれをオーダー。Mainは性懲りもなくステーキ&マッシュルームパイを頼む。
しばらくしてハギスが運ばれてきた・・・。マッシュルームに詰めて衣をつけて揚げてあるものが4つと生野菜が添えられている。メニューをよく見なかったな。味のほうは悪くはないが、ハギスの味が良く分からん。でも前菜としては量が多いかも。
続いてステーキ&マッシュルームパイが運ばれてきた。予想通り量が多い。でもKeithのレストランほどではない。付け合わせは山盛りチップスとグリーンピース。今回はほぼ完食。
食後に"High Spirits"という教会の建物を利用したパブでモルトを飲む。Linkwoodが飲みたかったがあまり種類はおいてないようだ。Cragganmoreをオーダーする。
この夜はScotlandにしては騒がしい夜だった。いままでで一番大きな町に来たから?と、思ったが、今日はハロウィンだった。花火の音と共にSpeyside最後の夜は更けてゆく。