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Photo: Balvenie_Castle
Balvenie_Distillery: Convalmore_Distillery: Dufftown_Distillery: Glenfiddich_Distillery

Scottish Weatherの洗礼

こちらへ来てから時差ボケのせいか、夜は10時頃寝て、朝は4時頃目が覚めるという生活をしている。明け方、うとうとしていたが今日は非常に風が強そうだ。音が聞こえる。秋の石垣島の風のようだ。

今日の朝食はシリアルの代わりにポリッジを食べてみよう。これは麦で作ったお粥のようなもので、ほとんど味がついていないので麦の味が良く出ている。しかしとても熱い。口の中をやけどしそう。ベーコンエッグやソーセージは定番となりつつある。
テーブルにOatcakesがあったので食べてみる。全く甘くない胚芽入りビスケットといったところか。私がこれを知ったのはWallace Milroy氏の著書"Malt Whisky Almanac"でのこと。モルトに合う食べ物というのに"Cheese & Oatcakes"と載っていた。なるほど、これはいろいろなものをのせて酒のつまみには良い。クラッカーのように塩味もついていないのでジャムをつけてもおいしい。紅茶を飲む時にぴったりだ。

さて、今日はDufftownの北側を廻ろう。Clock TowerからBalvenie Streetを北へ向かう。
町並みが終わり、Glenfiddichが見えてきた。その向こうに2つのパゴダが見える。それにしても、今日は風が強い。風が強い時は歩くのが困難なほどだ。時折晴れ間が見えるが、とても寒い。これがScottish Weatherというやつか。

Dufftown Station Glenfiddich蒸留所の北側にKeith-Dufftown RailwayのDufftown駅がある。 現在は観光シーズンの週末のみ運行されている。今はDufftownが終点だがその昔はRothesを通ってElginまで運行されていた(Rothesに古い鉄道橋の痕跡が残っていた)。RothesからElginまでは今のA941の東側に線路があった。多くの蒸留所を眺めながら旅をするのも格別だっただろう。過ぎ去りし日々の風景が目に浮かぶ。現在は線路跡がSpeyside Wayの一部となっている。

Convalmore Distillery Dufftown駅の北側に1983年に閉鎖された蒸留所、Convalmoreがある。一部の建物が取り壊されたような跡があり、屋根の文字も消えかかっている。閉鎖された蒸留所というのは何か、物悲しい雰囲気がある。東側にはWilliam Grant & Sons社のCooperageがあり、近い将来、何らかの施設として建て替えられそうな気もする(現在の所有もWilliam Grant & Sons)。

Balvenie Distillery Dufftown駅のちょうど東側に見えるBalvenieのパゴダ。昔ながらの製法を守っている蒸留所でモルトキルンの側に石炭とピートが積んであった。BalvenieとKininvieはどうやら同一敷地内にあるようだがどれがKininvieの建物かわからなかった。おそらく近代的な工場のようなのだろう。

Glenfiddich DistilleryDufftownで広く見学者を受け入れているGlenfiddich。ただ、私には観光地化してるように見えた。写真撮影は全くだめということでちょっと残念だ。さすがに一番売れているモルトを作っている工場で広く、設備も大きい。しかし木製のウォッシュバックや直火焚きのスティルなど伝統的なものも多く残っている。
Glenfiddichは蒸留所としては珍しく、瓶詰め施設がある。瓶詰めラインではあっという間に6本入りの箱が出来上がっていく。

見学が終わるとやはりお買い物タイム、何か買ってしまう。日本に入っていないものを探す。
まずはFiddich Malt Liqueur を購入。Balvenie Islay Cask 17years old という見たことのないボトルがあった。限定品っぽいが60ポンド(約11,000円)と非常に高い。どうしたものか。

英国の魅力

Balvenie Castle蒸留所ばかりではなく、少しは遺跡も見ようとGlenfiddichの近くにあるBalvenie Castleを訪れた。チケット売り場で入場料を払う。多くの古城にすべて入れるチケットも勧められたが私は蒸留所を廻っているので城を訪れるのはここだけ。しかしScotlandの人々は旅行者にとても親切だ。
小高い丘の上にある城はあまり大きくはない。要塞というよりは別荘のような感じがする。高台から眺める蒸留所は美しそうだが残念ながらその方向を見ることができる場所はなかった。
内部は部屋の構造が残っている部分もあった。DiningやBed roomと説明があったが全体的に小さい。特に部屋の入り口はかがまないと通れない。本当にここで生活できたのだろうか。この時代の人は背が低かったのか。

北側の蒸留所巡りが一段落、時計を見ると13時を20分程まわったところだった。今日はパブで昼を食べようと、Clock Tower Squareに面したFife Arms Hotelのパブに入る。食事をするならこちらへ、とラウンジに案内された。プラウマンズランチっちゅうのを食べてみたかったがメニューに載っていない。では、Fish & Chipsにしよう。Haddock一匹分の魚フライと山盛りチップスが盛られた皿が運ばれてきた。日本でいうところの魚フライ定食、なかなか素朴な味わいだ。味はついていないがレモンとタルタルソースが添えられている。Bitterにはぴったりだ(当然、Bitterをオーダーしている)。

食事が終わるとお店の人が入り口の掲示板のところに行こうと私を連れ出した。そこには京都のおみやげらしい、和紙で折られた扇子が飾ってる額と、そのまわりにここを訪れた日本人旅行者たちの名刺が貼られていた。ほとんどがバーテンダーなどのお酒関係者と旅行、出版関係の職業で占められていたが、現在私がいっしょに仕事をしている会社(コンピュータ関係)の人の名刺もあった(出張で来たのではないだろう)。日本を離れてまだ4日なのに久しぶりに日本語に接したようでとても懐かしく思った。今思えば、これが今日起こる、私にとってこの旅一番の幸運な出来事の前兆だったのかもしれない。

Dufftown の the Whisky Shopお腹も落ち着いたのでちょっとおみやげを探そうとClock Tower Squareに面したWhiskyShopに入った。DufftownのみやげはWhiskyしかないでしょ。今回、私はSpeysideを旅しているので買うWhiskyはSpeyside Maltだけと決めている。さすがにDufftownのお店だけあって、Dufftownの、そしてSpeysideのモルトは充実している。そしてスタンダードのブレンデッドウィスキーの種類が豊富だった。
Balvenie Islay Cask 17years oldがここにもあった。値段は59.99ポンドと1ペンスだけ安い。どうしようかと悩んだが、免税店にあったら買おうという結論に達した。酒瓶を持って移動するのは疲れるしね。
さんざん迷った結果、Glendullan 8years oldを購入。その他に蒸留所のイラストやポスターを買う。

Scottishは雨でも傘はささない

Old Mortlach Church時計を見ると既に15時をまわっている。しまった、買い物に時間をかけすぎた。天気が悪いので早くしないと写真が撮れなくなってしまう。少し雨も降ってきたようだ。急いで町の南側、Dufftown蒸留所に向かう。Church Streetを南に5分ほど歩いただろうか。Old Mortlach Churchを過ぎたあたりでパゴダが見えてきた。Dullan Water の辺に木々に囲まれて建つ蒸留所の風景はとても良い。

Dufftown Distillery蒸留所内に入っていくと、一つの建物のドアが開いていた。覗くとそこはスティルハウスだった。コンピュータ化されているらしくオペレータが一人座っていたので写真を撮っても良いか尋ねると建物の内部に入らない限り問題はないとのこと(と言ったと思う)。礼をいって撮影を続ける。
帰り際に、Pittyvaichの位置を尋ねようともう一度声をかけた。Pittyvaichは現在Whiskyの生産は行っていないとのこと。ダークグレイン工場だけが操業してるのかな。
「休暇で来たのか?」
「はい、休暇を利用してSpeysideの蒸留所の写真を撮っています。」
「それはいいね。でも、あいにくの天気だね。」
「でも私はScotlandを楽しんでいる。」
短いやりとりの後(実際はこんなにスムースには会話は続いてないが)、お互い笑顔で別れた。次回はこの蒸留所の見学を申し込むとしよう。

これがPittyvaichの建物? Pittyvaichはどの建物が蒸留所施設なのかわからない。工場のような建物ばかりだ。高い位置から撮りたいと思い、西側の丘へ行く。しかしなかなか良い場所が無く、だんだん雨が強くなってきた。帽子からしずくが落ちるようになってきた。日も暮れて寒くなってきたのでこの辺でやめよう。

雨で冷えた体はBitterで温めるしかない。パブでいっぱいやるか。宿に荷物を置き、Conval Streetにあるパブへ向かう。
「あれっ、ひょっとして日本人?。」
前から歩いてきた男女は日本人のようだったが、とっさに日本語が出てこない。まっ、ええか、とりあえずBitter。
ところがお目当てのパブは閉まっていた。目的地変更で昼ご飯を食べたFife Arms Hotelに入る。パブの主人が覚えててくれたみたいで大きな声で歓迎してくれた。と、まもなく先ほどの男女が入ってきた。やっぱり日本人だった。すぐにいっしょに飲もうということになり、テーブルへ。二人は吉越さんといい、旦那さんがバーテンダー。新婚旅行も兼ねてDufftownに半年住んで、Whiskyやビールの勉強をするという。羨ましい。お互い久しぶりの日本語の会話に酒も進む。今日は晩御飯がお酒だけになりそうな勢い。

せっかくDufftownのパブで飲んでるのだからモルトも飲もうと思い、Glenfiddichを注文。常連さんの中に蒸留所で働いている人がいて、にこにこしていた。パブの主人は、
「Balvenieはさらにおいしいよ。」
といっていたので2杯目はBalvenieを飲む。

明日から吉越さんが車で乗せてくれるということなので、明日はCraigellachieへ行くついでに足を延ばしてGlenlivetまで、その翌日はRothes-Elgin間の蒸留所を廻ろうということになった。Glenlivetへは交通機関がないのであきらめていたけど思いもよらぬ展開で行けることになりそうだ。